ひなはづチャンネルの楽屋

YOUTUBE、動画編集、闘病生活。広く浅く、なんでもござれの雑多なブログ。

去る冬

年末に、ビストロを経営兼シェフ、言ってしまえば自営していた友人にメールすると「体調を崩して辞めた」と返信がきた。何とも寂しい話だ。

この友人のビストロにはオープン間もない時に1度しか行かなかった。ランチタイムに予約していくと、恐らくは他の客にはないサービスをつけてくれたのを今でも覚えている。自宅から気軽に行ける距離ではなかったので1度きりになってしまった。

ごくたまに電話で話をすると、「人出がいない」とか「全部自分でやってるからプライベートの時間がない」とか、結構しんどそうな話ばかりを聞いた。「結婚相手見つければいいのに」というと「めんどくさそうだし」とワガママなことを言っていた。そりゃ見つからんわ。

 

昨年末(2017年の年末)にいきなり友人から「店のおせちが余ったから引き取ってくれ」と電話が掛かってきて、これをありがたく頂戴した。オーダーおせちにドタキャンが入ったらしく、捨てるのももったいないからと言ってわざわざ届けてくれた。洋風おせちでとても美味しかった。その正月の食卓はいつもより賑やかだった。

おせちを受け取った時、「バイトもなかなか集まらないからKちゃん(共通の友人)に手伝ってもらった」との話を聞いて、「今度言ってくれたら手伝うわ」と返していた。

 

この年末、ヤツは今年もオーダーおせちを作るのだろうと思いだし、去年のおせちの恩を返すことも含めて、私の方から「今年も人出が足りないなら手伝いに行くよ。休日でも深夜でも構わん」とメールを入れたら、返ってきたメールが「店を閉めた」という内容だった。

詳しいことは確認していないが、「またの機会に話す」とのことなので、もしかしたら体調以外の何かも店をたたむ要因なのかもしれない。その"またの機会"がくるまでこちらから深くは聞かずそっとしておく。

 

 

話は変わり、年末には会社の若手が辞めた。入社4年目の女の子だ。

この子が退職するという話は、同期の経理部長(総務も担当)から聞いた。聞いたタイミングは年末とのことで、同僚にとっても寝耳に水だったそう。会社に対しての退職理由は「親の介護の関係」とのことで、直属の上司にはずいぶん前から退職の意向を伝えていたらしい。自分が所属している部署が人手不足で、自身が補充要因として雇用されたことも把握しており、自分の代わりとなる者が手当てされることをしばらく待っていたらしい。しかし、この上司はギリギリまで何もせず、痺れを切らして彼女が上司に訊ねると「もう総務担当に言ってくれ」と彼女も経理の同僚も放り投げられたらしい。聞いてて情けなくなる。。。

昨夏の豪雨災害では、会社の同僚の大半は住んでいる地域が断水し、その子も漏れなく生活用水に困っていた。他の同僚を含めてその子に、入浴や洗濯する場として我が家を開放してあげた。退社時の彼女の挨拶に「お風呂を貸して頂いたこと、忘れません」と添えてきたから「ぜ…っんぜん、気にしなくていいから!」とワザと恩着せがまし言って冗談で返した。

退職の理由を直接聞くと「家庭の事情」としか言わない。これも深く追求する立場でもないし、それが本当の辞める理由か確認のしようもないわけで、それ以上問うことはしなかった。同じ部署で仕事をした間柄ではないが、家に招いたことをキッカケに携帯番号もお互いに解っているので、(彼女が私の電話番号を削除してなければだが、)「何か困ったことがあったら相談して」とだけ伝え、「新天地でも頑張って」と送る言葉を添えることしかできなかった。

 

 

そして今日、もう一人の入社4年目の女の子が「3月に退職する」と私に伝えてきた。

この子が退職するという話も、経理部長から既に聞いていた。上述の女の子の退職の申し出の直後だったらしく「最近の若いヤツラは何考えているのかわからん」と愚痴っていた。

この子は昨秋に入籍し、つい最近挙式した。退職理由は「旦那が春から仕事が忙しくなるので主婦業に専念する」とのこと。これは会社に対して発した内容(同僚から聞いた話)と、私が直接理由を聞いての回答と同じだった。

「もう次の職場は探したの?」と聞くと「まだ」と言う。その旦那の職業を把握しているけど、1馬力の収入じゃ生活厳しいんじゃないの?…と思うと、退職理由は他にあるのではないかと勘ぐってしまう。いずれにしても、これも本当かウソかの確認のしようはないので深くは追及しなかった。

「もう少しの間お世話になります」と彼女。この子とは家の距離が比較的近いので「引っ越すの?」と問うと、「今のところ予定ないです」、「もしかしたら近所の買い物先で会うかもしれませんね」と彼女。「じゃ、今後ともよろしく」と返した。

 

 

彼らに対して"何かできることはなかったのか?"と思ってしまう自分がいる。

特に同僚の若い2人が勤め続けるだけの魅力や能力は今の会社にはなく、そういう意味ではむしろ快く送り出したいと思っている。ただ、勤め続けたい魅力がある会社なら「こういう家庭事情があるから、こういう条件で働かせてほしい」と在籍したい意向を示してもいいはずだ。しかし、それがなかった点からは、私自身が会社に魅力がないと気づいているのにそれを変えようとしなかった、私の無責任さ・無力さが表れている気がして。。。

それはとても烏滸がましいことだと理解はしているが、例えば、ビストロを閉めた友人に対しても、もっと愚痴の一つでも聞いてあげれたら…とか、その愚痴をこぼしやすいような存在に私がなるべきだったのではないか…とか、年齢的にも組織的にも中堅な位置にいるとどうしても考えてしまう。

 

後悔に似たなんとも言えない感情が年末からずっと滞っている。

 

 

願わくば、彼らにとって寒い冬が去り、暖かい春が訪れて欲しい。

 

 

 

 

 

 

チャンネル登録者が増えていくことで、私の春の訪れが感じられる気がします(笑)

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