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台風21号の被害からBCPの本質を考えてみる

北海道地震および台風21号により被災された方に、心よりお見舞い申し上げます。早期の復旧・復興を心よりお祈り致しております。

 

さて、その台風21号で関西空港が昨日を停止せざるを得ない状況になり、次のような指摘が挙がっています。

www.asahi.com

 

記事の内容からは、利用者への情報提供などが不十分であることも見受けられ、その点については関西空港側は改善すべき点だと思います。

気になるのは見出しにある「関空BCPで想定せず」というところ。これは語弊があるというか揚げ足取りというか。。。 関空側をフォローすると「想定外の大規模災害だった」という理解をしてあげても良いのでは…と思うのです。この部分に対しては記事にも「甘かった」という認識が関空にもありますので、真摯に受け止めているはずですし、今後のBCPの見直しが図られるでしょう。

 

 

BCP」という言葉を聞きなれていない方のために補足すると、「事業継続計画(Business Continuity Plan)」の略のことであり、例えば災害などにより事業ができなくなった場合の早期復旧や、そうならないための準備を計画する活動のことです。会社そのものを守る意味もあれば、顧客への製品・サービスの提供という社会的責任の継続を促すものでもあります。

東北の大震災の時からBCPの重要性が高まりました。原料の調達先が被災して、製造したくても製造ができないというケースがあらゆる業界で起きました。そこで、早期の復旧などの事前の構え=BCPが必要であると言われ始めました。

 

私の会社も漏れなく、BCPの策定が取引先から求められました。

その流れの中、当社のBCPマニュアルは私が作成しました。本来であるならば、より経営陣に近い職層が作成すべきものですが、我社のその層はこの手のことは手を付けようとしません。。。 就業規定を除くあらゆる規定類は私が作成しています。

 

 

そして、西日本豪雨災害が発生しました。幸いにも会社・従業員ともに被災はなかったのですが、断水により業務も生活もままならない日がしばらく続きました。

しかしこの時、事業の復旧に対して作成したBCPマニュアルは何の役にも立たなかったわけです。

ます"断水"を想定していなかったことが挙げられます。当社の製造は水を大量に使います。逆に言えば、水がないと何もできません。この状態で「事業の復旧」と言ってもどうしようもありません。

もう一点。連絡網の整備と運用が不十分だったことによる、災害明けの出社の判断・伝達が迅速に行えませんでした。私自身は緊急時の情報を取りまとめる責任者でありながら、全員の個人情報を有事に扱える権限がありませんでした。個人情報の吸い上げがなければ連絡網も作れないこともあって、中途半端な連絡網に内容は留まっていました。

 

そんなこともあって、豪雨災害から一息ついたところで、「BCPを見直ししないといけない」との声が上がりました。私を含め末端社員からですがねっ

 

 

話を関空の話に戻しますが、今回の災害規模は「想定外」だったのです。後手になるのは仕方ないと思います。

BCPは起こりうるリスクを想定することからはじまります。地震、火事、洪水などの自然災害もそうですが、伝染病のパンデミックにより従業員が動けなくなることで業務が途絶えることもあれば、テロによる攻撃被害もゼロではないわけです。あり得ないとは思いますが、隕石が降ってくることもあるわけです。リスクなんて挙げてたらキリがありません。

また、被災して被害規模が甚大であった場合、復旧には時間と資金も相当に掛かることでしょう。したがって本気でBCPに取り組む場合は、"可能な限りの復旧"あるいは予防のための予算を計画することになります。果たして利益を生み出すためではなく、万が一の保険のための予算を用意できる企業が世の中にどれだけあるでしょうか。。。もしかすると被害が最悪の場合は廃業の判断もあり得るわけでして。。。

 

そういうわけで、BCPの策定は非常に難しいわけです。五万とあるリスクに対しての復旧計画を作るなどナンセンスですし、"保険"のためにはお金がいるわけですから、製品やサービスの価格にその保険分を転嫁しなければならないはずです。今の世の中で、誰が値上げをOKという人がいますか?

記事の新聞記者が「万が一が起こっても復旧できるように、利用料金上げてもいいから使えるBCPにしろ」との主張があれば記事も頷けますが、記事の内容からは愛も理解もない批判だけにしか見えないです。

 

BCPは見直しを図り続けるべきという考え方があります。当社や関空は今回をキッカケにBCPの見直しを図ることだと思いますが、事が起こらなくても定期的に見直しすることが大事だと思います。

 

また、これは私の考えですが、BCPを策定する際は、行動規範や有事の際の責任者を決めるに留めるだけでもいいと思います。リスクは無数にあるし、被害の規模も発生しなければわからない以上、具体的な行動マニュアルを作成するのは困難です。

 

実際に豪雨災害を受け、最も重要なのは「人間力」でした。社員の安否確認、事業の復旧、断水している家庭への援助など、考え・行動するのはそれができる人達だけでした。

取引先や同僚の家族までを意識して行動することができる人間を、有事の際の中心人物にする仕組みがあれば、何とかなっていくものだと思いました。そういう人材の見極め・育成することこそBCPなのかもしれません。

 

事業を継続できるのは顧客があってこそです。製品・サービスを提供する企業の本質とBCP策定の理由付けは、まったく一緒なのではないでしょうか。