ひなはづチャンネルの楽屋

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増減率(増加率・減少率)の求め方

サラリーマンをしていると、業績を数値化・グラフ化した資料を作成するシーンが多々あると思います。日頃、そのような資料を作成しない製造部門や開発部門も、会議や決算の時には報告書を求められるでしょう。

私はサラリーマンの時に、「前年比〇%って、どう導き出せばいいの?」とよく質問されました。割合・百分率は、日頃使わないと導き出し方をうっかり忘れてしまいがちですよね。。。

 

そこでこの記事は、増減率(増加率・減少率)の求め方をできるだけ解りやすくまとめてみました。私は数学者でも教師でもないため、素人視点で説明させて頂きます。

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専門的な知識は持ち合わせていませんので、専門家の方の説明をお求めの方は他のサイトをご確認ください。

 

 

割合・百分率・歩合の理解

割合は、<2つの量を比べる時に、元の量と比べて、もう一方の量がその何倍(何割)にあたるかを表した数>です。

 

百分率は、その<元の量(全体量)を100とした時、もう一方の量がどれくらいかを%(%)という単位で表した数>です。

 

おまけで歩合という表現についても説明しますが、歩合は、<割合が0.1の時に"1割(わり)"、0.01の時に"1分(ぶ)"、0.001の時に"1厘(りん)"として表現する数>になります。

 

 

野球の打率で割合・百分率・歩合の説明をします。

野球の打率は、<打数に対して安打をいくつ出したか>というバッターについての指標の1つです。

単純な計算式は<安打数 ÷ 打数>で導き出すことができます。

 

2020年のパ・リーグの首位打者は、オリックスの吉田正尚選手でした。

吉田選手の2020年シーズン中の打撃成績を調べると、

打数 408

安打数 143

という結果でした。

 参考リンク:吉田 正尚(オリックス・バファローズ) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構

 

上の計算式に当てはめると<安打数143 ÷ 打数408>となり、答えは<0.35049…>が導き出されます。この<0.35049…>が割合になります。

百分率は、割合に100をかけた数字にパーセント(%)単位をつけて表現するものです。したがって、<0.35049… ✕ 100 = 35.049…>となり、小数点第1位を四捨五入すると<35%>となります。

歩合は、割合の数字の小数点第1位から第3位を、それぞれ<割・分・厘>という単位に置き換えて表現するため、割合0.350は<3割5分0厘>となります。(0は省略されることが多いため、今回の場合は<3割5分>と表現されます)

※打率は、表記では<.350>と割合で表現されますが、読み上げる時は<3割5分>とされます。

 

百分率(%)で理解する方が簡単な人は、「吉田選手が打つと35%の確率でヒットになる=100回ボールを打つと35本は安打にできる人」、「10本打って3,4本をヒットにできる素晴らしい打者」と説明するとイメージしやすいでしょう。

 

 

割合と百分率と歩合の関係は、下の図のようになります。

歩合 百分率 割合

上では打率を元に説明したので、比較の対象は1未満・100%未満の数値になりましたが、元と比べて比較の対象の数値が大きくなると、割合は1を超える数値に、百分率は100%を超える数値で表現されます。

 ※歩合は10割を超えた時に、例えば<11割>という表現はされないと思います。

 

 

減少率の求め方

"○○率"というのは、言葉の中に"率"という文字がある通り、百分率で表します。つまり"△△%"という表記になります。

 

 

減少率を求めてみましょう。

ある期間の新型コロナウィルス感染者数の減少率を導き出します。

2021年2月12日時点 新型コロナウィルス感染者数

上の画像はGoogle検索で表示されたグラフを私が加工したものです。

 ※データ提供元:JHU CSSE COVIC-19 Data グラフ提供元:Google

 

日本の2021年1月30日における新型コロナウィルスの新規感染者数は3,319人で、2月12日の新規感染者数は1,316人と減少しました。この2週間での新型コロナウィルス新規感染者数の減少率が何%なのかを導き出します。

 

百分率は

○○率(%)= 対象の数 ÷ 元の数 ✕ 100

という式から導き出すことができます。

 

 

ところで、この問題の"対象の数"とは何を指しているのでしょう?

正解は、減少率なので"減少した数"が対象となります。

この問題では、元の数3,319人から減少後の数1,316人を差し引いた数、すなわち、

 3,319(人) - 1,316(人) = 2,003(人)

2,003人が対象の数になります。

 

これをそれぞれ置き換えると、新規感染者数の減少率は、

減少率(%)= 減少した数 ÷ 1/30の感染者数  ✕  100

      = 2,003 ÷ 3,319 ✕ 100

      ≒ 60.35%

60.35%となります。

 

ニュース風に書くと「1/30から2/12の間の新型コロナウィルス新規感染者は減少率60.35%で、1日あたりの感染者数は1/30時点の3,319人から1,316人まで減少しました。」という表現になります。

活動自粛によって感染者数が6割も減少しているのは素晴らしいですね。

 

 

増加率の求め方

次は増加率について求めてみます。

 

厚生労働省が発表しているデータに、<新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果>というものがありました。広島県の事例から確保病床数の増加率を求めてみます。

 参考リンク:療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査について|厚生労働省

 

広島県内の新型コロナウイルス感染症患者のための確保病床数は、2021年1月13日の時点で453床、2月10日の時点で477床でした。確保病床数の増加率はいくらでしょうか?

 

先程と同じように、この問題の"対象となる数"は何かを考えます。

ここでは増加率なので、"増加した数"が対象になります。

 

この問題では、2/10の増加後の確保病床数477床から、元の数である1/13の453人を差し引いた数、すなわち、

 477(床) - 453(床) = 24(床)

24床が対象の数になります。

 

これをそれぞれ置き換えると、確保病床数の増加率は、

増加率(%)= 増加した数 ÷ 1/13の確保病床数  ✕  100

      = 24 ÷ 453 ✕ 100

      ≒ 5.3% 

5.3%となります。

 

医療現場の負担が続いている中、それでも確保病床数を増加していることは、関係者の努力があってこそです。医療関係者に心から感謝します。

 

 

 

TPOで表現を使い分けよう

増加や減少を数字で表現する時に混乱するのは、「以前の何倍になった」、「何分の一になった」というように、割合で表現することもあるからだと思います。

 

導入部分で会社での報告について書きましたが、営業成績などは数字のマジックによって見え方が変わってきます。

 

例えば、前年の売上額が1億円、今年が1億5000万円だったとします。

割合で表すと今年の売上額は前年比1.5倍、百分率で表すと前年比150%、

これを増加の割合や増加率で表現すると、

増加率(%)= 増加した数 ÷ 前年の売上額  ✕  100

      = 5000万円 ÷ 1億円 ✕ 100

      = 50% 

 50%となり、インパクトに欠ける数字になります。

(実際には売上50%アップはものすごい成績ですよ?)

 

 

報告では、"よく見せる"ことも大事な場合があります。

数字上の結果が同じでも、「売上の増加率は50%でした」と言うのと「前年比150%の売上でした!」では、全く印象が変わってきます。「部下が良い成績を残したから、評価されるように報告内容をよく見せておこう」という気概で、こういう数字のマジックを活用していきましょうw

 

このようにTPOによっての表現の使い分けまで意識できれば、【割合・百分率マスター】に近づいたといえるでしょう。

 

しかし、どのように表現しても<結果は同じ>であることはしっかり念頭に置いておきましょう。報道の発表にもこのような数字のマジックは良く使われています。真実は何かを見極めることが重要です。

 

 

 

 

<2018.06.21初稿> 

 

<2019.07.13追記>

コメントを頂いて記事を見直すと、過去の説明に誤りがございました。訂正しお詫びいたします。記事の内容を修正致しました。

修正のために参考にさせて頂いたのは、

前年比と増減率の計算方法と落とし穴 - 具体例で学ぶ数学

「割合」の3大つまずき解消法

上記サイト様です。

割合というのは説明が難しいことが良く理解できました。

過去の記事を閲覧頂いた方に重ねてお詫び申し上げます。

今後はさらに解りやすい内容に記事をブラッシュアップさせていきたいと思いますので「説明が間違っている」、「ここが解りにくい」などありましたら、コメントにお寄せ頂ければ幸いです。皆様のご指導・ご鞭撻のほどお願い致します。

 

 

<2021.02.16追記>

「減少率 求め方」や「減少率 計算」という検索キーワードでこのページを訪れてくれる方が多いため、より解りやすくなるように自分なりに大幅に加筆修正致しました。

「わかりやすかった」、「わかりにくい」などコメントや<スター>を頂けると、記事をブラッシュアップする原動力になります。よろしくお願いしますm(_ _)m