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10年業務やってるリーマンのISO9001講座 ②リーダーシップ

 ISO9001の認証や維持にあたって最も重要と私が感じているのは、リーダーシップだと思っています。これはISO9001に関する業務に携わってきたことと、ドラッカーの「マネジメント」を読んでみたこと、そして今の勤め先に従業員から望むことから、リーダーシップの重要性を感じているところから感じるものです。

 

 最初にISO9001の要求事項のリーダーシップの項を抜粋します。

5 リーダーシップ

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.1.1 一般 トップマネジメントは,次に示す事項によって,品質マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。

a)品質マネジメントシステムの有効性に説明責任(accountability)を負う。

b)品質マネジメントシステムに関する品質方針及び品質目標を確立し,それらが組織の状況及び戦略的な方向性と両立することを確実にする。

c)組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。

d)プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。

e)品質マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。

f)有効な品質マネジメント及び品質マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。

g)品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成することを確実にする。

h)品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ,指揮し,支援する。

i)改善を促進する。

j)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を支援する。

注記 この規格で“事業”という場合,それは,組織が公的か私的か,営利か非営利かを問わず,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。

 

 原文で繰り返される"品質マネジメントシステム"は、「業務体系(企業の仕組み)」とか、「組織そのもの」とに置き換えて読み解いて頂けたら解りやすいと思います。

 話が最初から脱線しますが、ISO9001は"品質マネジメントシステム"と訳されていますが、この品質は組織が生み出す製品やサービスを指す、"製品品質"のことと読み解かれることが多いです。

 しかしISOの2015年版の改訂から、"組織そのものの品質"と解釈する理解が広がっています。ISO9001は製品やサービスの品質についての外部認証ではなく、法に従い、顧客を重視し、成長していく活動が行われる組織となっているか、いわば"企業品質”についての認証と解釈する時代になりました。(認証機関は「元々そうだった」とセミナーなどで説明されますが、原文を日本語直訳気味に翻訳してきたことは、ISOブーム当初から認証を続けている企業にとって、混乱の元凶になったのではないかと思います)

 

 「当たり前な企業としてのトップのリーダーシップとは何か」を、ISO9001の条項5では謳っていることになります。a)から順に解釈していくと、、、

a) 会社(の仕組み)の有効性について説明責任を負う。(会社が法令・規律を守り、社会貢献できる体制であることの説明責任を負う)

b) 品質に関する方針や目標を定める。それは利益などを含めた企業戦略と両立するようにする。

c) 「ISO9001」認証のための業務システムを別途構築するのではなく、既存の業務システムがISOの要求を満たしたものに統合する。(ルール・業務を2つにしない。

d) プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。

e) 業務が機能し、改善されるように、ヒト・モノ・カネを手当てする(計画をする)。

f) ISO9001の理解が重要であることを組織に伝達する。

g) 会社が目標達成すること(やその取り組み)を確実にする。

h) 会社が改善していくよう、取り組みに従業員を参加させ、それを指揮し支援する。

i) 会社の改善を促進させる。

j) 管理層に責任の領域の決定と、その領域における管理者の職務を実証させることができるよう、管理層を支援する。

 

 c)を見ると、乱暴な解釈になってしまいますが「ISO9001の要求事項を満たせば、どんな会社でもまともな会社になる」と言っているように思えます。が、業務ルールが未成熟だったり、あるいはこれから組織体系を構築されるような場合は、ISO9001の概念を盛り込むことで、スマートな体制の会社に変貌すると思います。

 私たちの会社もISO9001を認証する10年前から比べると、はるかに企業体質は成長できたと実感します。それくらいISO9001の理解は組織人として役立つことが多いです。

 

 リーダーシップの話に戻すと、上述のその他の項目も「なんだか書いてあることは当たり前のことだなぁ」と感じる方もいらっしゃると思いますが、社長を含め管理層からも、要件を全て果たせるようなスーパーリーダーにはなかなか巡り合うことはないでしょう? 人の上に立つのは相当の苦労があると思うので、上述の実践はかなり難しいものと思います。ISO9001の条項5には、理想のリーダー像の要件が書かれていると思います。

 

 組織は人の集合体ですから、考え方がバラバラの者が集まっているわけです。それらを指揮せず「この目標に向けて頑張ろう」と言うだけでは、足並み揃わず目標達成に至りません。

 具体的に指示したり、目標達成に不足するものがあれば投資し、業務を縦割りして組織が業務分担するなら管理者を設定し…と、トップが意思決定することから会社は動き出すものです。まずはトップダウンからがスタートです。ボトムアップを優先することを求めるリーダーもいらっしゃると思いますが、上から具体的な指示がなければ、下は報告を上げれないものです。(そもそも下の者で意思決定まで行えるスーパーマンみたいな人材なら、組織に属さず、自ら起業しリーダーになった方がいいのでは?と私は思います。リーダーになられている方は、下から"指示や意思決定を期待されている"と受け止めて頂きたいと思います。)

 

 組織におけるリーダーに位置する人で「何故か上手くチームが機能していないな」と思われている方がいらっしゃいましたら、ISO9001の条項5に書かれていることを見つめて頂くとよいでしょう。もし条項の中で、リーダーとして取り組めていない役割がありましたら、実践されると組織が上手く回り始めるかもしれません。まずはトップダウンが重要です。

 

 

 次回以降のISO9001についての記事では、今回触れることができなかった、d)のプロセスアプローチの考え方と、リスクに基づく考え方について書きたいと思います。